世界自然遺産候補地
NATUAL NEWS  2003.6.16




知床(北海道)、 小笠原諸島(東京都)、琉球諸島(鹿児島、沖縄県)の3か所が有力。   
[環境省と林野庁同時発表]

「世界自然遺産候補地に関する検討会」は 平成15年5月26日に座長の記者会見を行ない、検討会として知床(北海道)、 小笠原諸島(東京都)、琉球諸島(鹿児島、沖縄県)の3か所を最終的に推薦候補 として絞り込んだと発表。

検討会は、これまで4回にわた って世界自然遺産の候補地に関する検討を行ってきた。日本の自然環境の観点から価値の高い 地域をできる限り広く検討対象とした上で、世界遺産条約上の世界自 然遺産の登録基準への適合性を詳細に検討するため、面積要件や人為 的改変度等により、19の詳細検討対象地域を抽出(別紙)し、当該 地域について詳細な検討を行った。
富士山(山梨県・静岡県)や、世界有数の多雪地帯である 飯豊(いいで)・朝日連峰(山形県、新潟県、福島県)をはじめ、全国19か所に ついて世界遺産の自然遺産登録基準への合致度という観点で評価を実施。  
その結果、富士山はごみやし尿の管理体制の不備や規制地域の狭さ、飯豊・朝日連峰 はすでに登録されている白神山地との共通点が多いことなどが問題点として指摘され、 最終候補とはされなかった。

なお候補にあげられた地点のうち、知床は流氷が育む海洋生態系と原始性の高い 陸域生態系の特徴的な相互関係やシマフクロウなどの絶滅危惧種が生息地している点、 小笠原諸島は多くの固有種・希少種が生息する特異な島嶼生態系が形成されている点、 琉球諸島は多様で固有性の高い亜熱帯生態系や珊瑚礁生態系、優れた陸上・海中景観、 絶滅危惧種の生息地である点が評価されたもの。

ただしこの3地域についても、管理計画の不備や自然保護上重要な地域の一部に 未規制地域があるなどの課題が残っており、検討会は「直ちに世界遺産候補地として 推薦できる状況にはない」と結論。環境省や林野庁などの関係省庁が引き続きこの 3地域について調整・検討を行う予定だ。

<詳細検討対象地域・・・全19地域>
利尻・礼文・サロベツ原野/ 知床/ 大雪山/ 阿寒・屈斜路・摩周/ 日高山脈/ 早池峰山/ はやちね/ 飯豊・朝日連峰/ いいで/ 奥利根・奥只見・奥日光/ ただみ/ 北アルプス/ 富士山/ 南アルプス/ 祖母山・傾山・大崩山、九州中央山地と周辺山地/ そぼさんかたむきやまおおくえやま/ 阿蘇山/ 霧島山/ 伊豆七島/ 小笠原諸島/ 南西諸島/ 三陸海岸/ 山陰海岸
 

【6月16日  ネイチャル 編集部】


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