ECOウオッチング

2003.6.01更新

森のさまざまな活用が始まっている。

森林を環境教育の場に,また 健康づくりの場に。−林野庁

1、中高年齢者の健康づくりのための森
 
林野庁は中高年齢者の健康づくりの場として森林を活用してもらうために、医療・福祉関係機関と連携した森林の利用推進手法についての調査報告書をまとめた。
 この調査では医療・福祉関係機関側の基礎的なニーズを探るため、まず全国119の医療機関に対して「医療・療養・生活習慣病予防面における森林の効能」についてアンケートを実施した。
 その結果、森林の利用により患者に対する効果が期待できるとした回答は50〜70%にものぼっていたが、一方で実際に森林を活用している例が少なく、公園などで野外活動を行っている医療機関は23%に止まっていることもわかった。
 利用できない理由としては、森林が未整備(85%)、付き添い人がいない(46%)、保険点数の対象にならない(31%)などの回答が多かった。
 報告書ではこの結果を踏まえ、利用目的に応じた森林整備、医療・福祉分野から森林内での活動をサポートする森林療法士(フォレストセラピスト)の育成、森林の効用に関する科学的な調査研究の必要性を提案するとともに、実際の森林利用のタイプとして(1)患者のリハビリやリフレッシュを行う医療・福祉の森、(2)病後の体力回復や保養を目的とした療養・保養の森、(3)生活習慣病予防の森−−の3タイプを想定。タイプごとの「森林活用プログラム」を提案している。

全国第1号・香川県高松市の「遊々の森」
緑色の地域

2、子どもたちの体験学習活動フィールドとしての「遊々の森」
  また、国有林を子どもたちの体験学習活動を行うフィールドとして、継続的に利用してもらうために、国有林の中に学習活動ができる「遊々の森」の設定を進めていくことが先年すでに決定されている。
 「遊々の森」は植樹、下草刈りなどの体験林業、野生動植物の観察、ネイチャーゲーム、隠れ家づくり、沢あそびなど、森林をフィールドにした学習活動がいつでも実施可能な場所として想定されており、設定場所は国有林の中での学習活動を希望する学校などと森林管理署が相談の上、決定される。
 また実際の活動は地方公共団体、教育委員会、学校などの教育関係機関と森林管理署が協定を締結した上で進めることになっており、それぞれの「遊々の森」は独自の名称を付けることができる。
 「遊々の森」の設定を進めていくにあたっては、林野庁としてもフィールドを提供するだけでなく、森を利用した学習活動についての助言やプログラムの提供、指導者の紹介などのサポートも行っていく方針で、すでに全国の森林管理局などに「遊々の森」を利用した体験活動についての相談窓口15か所を設置した。
 なお、全国第1号の「遊々の森」は香川県高松市の四国森林管理局管内屋島国有林に平成14年10月1日付けで設定されている。